威嚇

躁の時に書いてる

初めて新型コロナウィルス感染症になった

4年間逃げられたのは上出来だった。月曜日の夜に発熱が始まったので普段やらないことをしようと思って、Netflixを開いた。私の部屋はベッドに寝転がりながら壁に投影した大きなプロジェクターで映画を見られる、非常にナマケモノに優しい構造に仕立て上げてあるので、熱が出た時ももちろん病人に優しい。

何を見ようか迷った。普段は、犯罪心理や幼児の話す前世の記憶を裏どりしていくドキュメンタリー、海の中でクジラがどのようにコミュニケーションをとっているか、ネアンデルタール人の秘密!みたいなものばかりを見ているので、サジェストもそのようになっており、とても高熱と咳でぐるぐるしている朦朧とした頭で処理できるものでもないし、かといって喉の痛みの気を散らせるほどハラハラ展開が気になるようなものでもない。

ランキングから何か見ようと選んで、「missナイト・missデイ」を見た。昼間は28歳?29歳?の女の子で、就職浪人をしている。公務員を目指していて公務員試験での成績は優秀なのに、ずっと面接で落ち続けている。その女の子が猫を助けたら、太陽が出ている間おばちゃん(アジュンマ)に変身するようになってしまった。多分公式のこの人とくっつくんだろうなぁという俳優さんよりも、当て馬役のアイドル役の俳優さんが可愛らしくて、このようにツルツルで透明な男性がいるものなんだなぁと感心してしまった。

結局、一晩中咳がきつくて寝られず、ドラマも一気に見た。ドラマは自分の文化から近すぎると細かい点が気になったり感情が揺さぶられすぎて見ていられなくなってしまうし(虎に翼しかり)、遠すぎるとニュアンスがよくわからないので、韓国ドラマはちょうどいいなと思った。優秀なのに年齢を理由に落とされる女の子に共感して少し泣いた。

 

火曜日は寝込んだ。唾を飲み込むのも喉が痛くて吐き出した。痰がひどく、咳き込んだその勢いで嘔吐してしまい、歳をとったらこんなふうになるんだなと予習した。視界が90度ズレてきて、氷枕なしでは頭が茹だりそうだった。買っておいた私、えらい。すみっコぐらしの氷枕が溶けてしまい、冷凍しておいたカオマンガイをタオルに包んで代わりにした。カオマンガイが溶けはじめてお肉の香りが出てきたら、次は冷凍うどんで頭を冷やした。保冷剤をおでこと首にものせた。冷蔵庫とベッドを這って往復した。

 

水曜日は熱が下がってきた。私は手のひらが常に温かく体中どこを触っても手のひらの方が温かいのが通常時の状態なので、自分の手で手首をつかんでどちらが温かいかで発熱しているかを確認する。この時やっと手首の表面温度と手のひらとが同じ位になった。

母が抗原検査キットと差し入れを持ってきてくれた。が、それがおうどんと海鮮丼のセットのお弁当で、今はなまもの食べられる状況じゃないんだけど…まぁでもわざわざ差し入れしてもらって文句を言うのも違うしなぁとも悶々とした。ありがたいにはありがたいのだが。不思議なひとだ。

 

木曜日は薬を飲む気力が出てきた。痰を切る薬と抗生物質だった。抗生物質を飲むとお腹が緩くなるが、そもそも何も食べられておらず出るものがなかった。 ポカリとにんじんジュースとトマトジュースで生き延びていた。カゴメのプレミアムにんじんジュースに幸あれ。

 

金曜日はやっとシャワーを浴びられた。普段、自分の汗や外の埃に我慢ならず強迫すれすれの気持ちで2回はシャワーを浴びるのに、5日間できなかった。髪の毛がたくさん落ちた。

 

土曜日、5日間ほぼ何も食べていなかったが、ポカリは飲み続けていたので大して痩せていなかった。誠に遺憾です。

 

日曜日にはやっと緑茶を急須で淹れる余裕がでるほどに回復した。ゆったり飲んだがあんまり美味しくなくって、淹れ方ミスしたかしらと思った。

 

月曜日、薬が効いてやっと咳も落ち着いてきたので、お寿司屋さんに大好きな白身と青魚を食べに行った。連休最終日でカウンターにはネタが少なかった。最初、ヒラマサを食べてまったく味がわからず動揺した。食感はわかるがなんだこれ。お醤油もなんだか味気ない、魚介類の香りもわからなくなっている。いつものハイボールも頼んでみたがまったく気の抜けた香りのないただのトニックのようだった。私の鼻の方がおかしくなっている。かなしい。香りがないと食べ物もお酒も味気ない。鼻が詰まっているわけじゃないのに。早く良くなりますように。

 

火曜日、繊細な香りがわからなくなり結果白米をドカ食いした。